湯島駅6番出入口を出て、昌平橋通りの裏手に回る。歩いて30秒ほどだろうか、隠れ家と呼ぶにふさわしい路地裏のイタリアンにたどり着く。透明なケースの中にカラフルな花を配した、美しい看板が店頭を飾る。店の名は「La Saetta(ラ・サエッタ)」という。白を基調にした店内は、カジュアルで清潔感があり、それでいて温かい。"気持ちのいいわが家"のようだ。そんな空間で食すランチだから、やっぱりとっておきがいい。シェフお任せの日替わり「ランチコース」に決めた。
前菜は「常磐産マコガレイ春の香りをつけたソテーライムソース 春野菜とともに」。マコガレイは、皮はパリッ、身はしっとり。ハーブの香りとフキノトウの苦味がアクセントだ。バリエーション豊かな春野菜もいい。
パスタ「北海道産生雲丹と徳島産フルーツトマトの冷製カッベリーニ バジルとバルサミコのエッセンス」はさわやかな逸品。生雲丹とフルーツトマトがこんなに合うとは。
メイン「桜とほうれん草で包んだ東北和牛イチボのインボルティーニ 自家製桜の花のチーズ添え」。岩塩包みと同じ要領で焼き上げた和牛のイチボの部分は、柔らかさと独特の歯ごたえを併せ持ち、かむほどに味わいが増す。桜の花のチーズとフォンドボーのソースは好みに応じて。それにしてもイタリアワインが進む、憎いメニューである。
豊島区役所を越えてすぐの通りを右折。目印は鮮やかなエンジののれん。池袋でそばを食べるなら、ココは外せない...手打ちそば「美蕎(びきょう)」である。
店の看板は、粗挽きせいろとせいろの2種類が楽しめる、数量限定「鴛鴬(えんおう)小海老天せいろ」。まずは、粗挽きせいろと小海老天が供される。この店のそばの特長は、なんといっても「挽きたて」「打ちたて」「ゆでたて」、いわゆる三たての十割そばであること。農家と直接契約し、仕入れた丸抜きを、毎朝店内の石臼で挽き、製粉・製麺。客の注文を受けてからゆで始めるこだわりがうれしい。
十割そばというと、歯触りがざらざらしてのど越しもいまひとつといった評価があるが、ここの十割そばは違う。見た目、実にインパクトある粗挽きなのに、つゆを付けてすすると、意外なほどつるつると入っていく。それでいて十割ならではの甘みと香り、強い腰が堪能できる。カラッと揚がった小海老天も合う。
粗挽きが食べ終わるか終わらないかのころ合いで、せいろが出てくる。のど越しよく、より一層つるつるいける。あっという間だ。そば湯で締めれば、気分さえ軽くなる。ちなみに「京都産 九条ねぎおろしそば」もおすすめ。一度食べると、忘れられなくなるそばである。
DATA美蕎
東京都豊島区東池袋1-32-5 大熊ビル1F
03-5960-0083
「博多華味鳥 銀座店」は、西銀座は博品館ビル5階にある。オープンは2006年8月。博多中洲で評判の水たき専門店の東京初進出で、その年の冬には早くも予約を断らなければならないほど順調なスタートを切ったという。
最近でこそ、水たき=高級料理、特別な料理というイメージは薄れつつあるようだが、そんな既成概念を見事に打ち破ってくれるのが、この店の「水たき」だ。
まず、鶏が違う。直営農場のたっぷりと陽光が降り注ぐ鶏舎で飼育したオリジナルブランド「華味鳥」を使っているのだ。専用の飼料や飼育日数にこだわり、ひなから大切に育てた若鶏は、臭みがなくコクのある味と歯ごたえを持つ。その足ガラからとったスープに、モモのぶつ切り、切り身、肝、せせりで作ったつくねを加えていく。グツグツという音がたまらない。オリジナルのぽん酢に浸し、柚子胡椒を添えていただく。肉そのものの味が実に濃い、それでいて淡白。決して矛盾していない。食べてみれば分かる。さらにポイントはキャベツである。水分の多い白菜は自慢のスープの味を損ねる。だからキャベツ。"水たきにはキャベツ"、そう痛感すること請け合いだ。
締めのスープにはあえて触れない。ただこのスープで炊き上げた「コラーゲン粥膳」が、ランチの一押しメニューと聞けば、試さない手はないだろう。
DATA博多華味鳥 銀座店
東京都中央区銀座8-8-11 銀座博品館5F
03-3569-1621
首都高の高架の手前、日本教育会館2階の、天井が高く、開放的な空間に「泰南飯店 神保町店」はある。今回は、数あるランチメニューの中から定番の2品を紹介する。まずは「五目入り焼きそば」。この彩り、強烈に食欲をそそる。ボリュームも満点だ。実はあんと麺、それぞれにポイントがある。
あんの方から説明すると、最初にエビ、イカ、豚肉といった具材にきっちり下味を付けておく...ここが大事だという。鍋を持ってからは早い。強火でさっと炒め煮する感覚だ。それゆえ、野菜はシャキシャキする。味付けには、鶏豚ミックスのスープ、たまり、しゅうゆなどを使うが、基本はあくまでも塩。飽きのこない味に仕上がるのはそのためだ。
あんとよく絡む細麺にも秘密がある。それは蒸して時間を置き、湯で戻してから焼くという工程だ。そこまで手間隙かけるのは、細麺なのにモチッっと弾力ある、独特の食感が欲しいから。こうしてこだわりの麺とあんが融合し、唯一無二のひと皿が出来上がる。
もう一品は、紅白で太極マークを描いたかのような美しき「坦々湯麺」。この麺の素晴らしさは、なんといっても味のコントラストだ。荒びきにすることでジューシーさを強調した濃厚な肉みそ、さっぱりとした極細麺、適度の辛さとまろやかさを併せ持ったスープ。まさに、組み合わせの妙である。
DATA泰南飯店 神保町店
東京都千代田区一ツ橋2-6-2 日本教育会館(一ツ橋ホール)2F
03-5211-2180