新大橋通り沿い。左は築地駅、右は新富町駅。ここ「築地 さらしなの里」は、1899年創業の手打ちそばの老舗だ。まずは、やはり「もり」だろう。この店の「手打ちそば(もり)」はいわゆる二八(そば粉8、小麦粉2)だが、北海道石狩沼田産の真空保存のそば抜き実(丸抜き)を石臼で自家製粉、毎朝挽きたてを手打ちするというから恐れ入る。
汁も鹿児島枕崎産の鰹の焼節を使って、毎日店で作るという。やや甘めだがマイルドで、主張の強過ぎない汁だから、そばの香りと風味が一層引き立つ。江戸前の細くて足のあるそばを「つるつるっ」と。
さらにもう一品、「さらしなの里」を代表するメニューが「鴨南ばん」である。埼玉辛手産の合鴨、この肉がなんといっても素晴らしい。ただでさえ鮮度がいいのに、冬場に入ると脂がのって、肉の赤と脂の白がどんどん鮮やかになる。美しいのだ。
そんな最高の素材だから、あくまでレアで仕上げてそばに載せる。汁も冷たいそば用とは違い、鯖の焼節を使ってよりすっきりと。程よい柔らかさ、かむほどに味が出てくる鴨。脂の甘みとのバランスも絶妙だ。例えるなら、そば屋でフレンチレストランの「鴨のロースト」に出会ったような感覚。これに香り高きそば、上品な汁、ネギが加わる...こんな幸せ、そうはない。